クリスマソウル3~ホークウッドの憂鬱~

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不死の世界に聖夜など、あるものかよ…

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フン…

今日はクリスマス…か…

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呪いの世界にそんなもの、祝いの日などあるはずもない…

まったく、憐れじゃあないか。恋人だ、聖夜だと、こんなものは呪いだよ…

…だというのに…

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普段はよくここにいるあいつらも、今日ばかりは使命もお休みってわけか…フフフ…

糞喰らえだ!

 

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よぉ、あんたも独り身ってわけかい…

お互い寂しいもんだなぁ?ハッハッハ…

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「ククク… 悪いが、俺にも信ずるべき女神がいるものでな…」

「なに貴公、そう肩を落とすな…。ところで貴公、侵入はしているかな?他世界の灰どもから残り火を奪い、一時の力を手にできる…」

「それにはある特殊なアイテムが必要なんだが…それがこの赤い瞳のオーブ!これが今ならなんと無料!新規のお客様にはさらに『ロザリアの寝室』への無料招待券を進呈中です!えっ?『オーブが欠けている』?『不良品じゃないのか』って?流石お客様お目が高い!そちら実は完全なものではないんですよ~!そちらは言い換えれば無料お試し版のようなものでして、完全版を入手するのに必要なのがこちらの招待券となっております!場所はですね…深みの聖堂で、ロザリアに仕えたまえよ…

 

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…クリスマスまで営業とは熱心なもんだ…。まるであいつらを見ているようで、癇に障るぜ…

もっとも、あんなブラック企業抜け出せてよかったはずなんだがな… それでもまだ、心にわだかまりが残っていやがる…

フンッ…フッフッフッ…!

 

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よぉ、アンドレイのオッチャン…

今日も武器鍛錬に明け暮れて、アンタも仕事人間の一人ってわけかい?

こんな日くらい、仕事を忘れて酒飲みの真似事としゃれ込もうじゃあないか…

まったく、最近の若い不死ときたら志ってもんがうんたらかんたら…

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(この心折れ野郎、一度心配になって声をかけてみたが、それ以来事あるごとに馴れ馴れしく話しかけてきやがる…)

(別に相手になるのは構わないんだが、こうも毎回ネガティブな話題を振られるのはさすがに堪えてきたな…)

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「なぁホークウッドよ…いい加減、お前もそろそろやる気を出さないか?」

「この前やって来た火のなき灰を見ただろう…目覚めたばかりだというのに、忙しなく飛び回ってやがる」

「風の噂では、そら、お前が入っていたファランの不死隊をとっちめたという話じゃあないか」

「…お前も、そろそろ動く時期なんじゃあないのか?

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う、うわあああああっ!!

やめてくれそんな話はっ!今は聞きたくないんだ!一生聞きたくないんだっ!!

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「おい!そこはさっきモップ掛けしたから滑るぞ!あんまり走るな!」

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あっ!

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………

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………

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………

 

 

 

 

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ハッ!

こ、ここは…?

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ここは噂に聞くアリアンデル絵画世界…!忌み者が集う土地と聞く…!

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ということは…フフ、俺もついに爪弾きにされた忌み者ってわけか…

よりにもよってこの日に雪国とは、俺にはおあつらえ向きじゃねぇか…。笑わせるぜ…

フンッ…フッフッフッ…アッハッハッハ!

…ん?

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あいつらは幽鬼じゃないか…!しばらく見ないと思ったが、この世界に移り住んでいたのか…

俺も現役のころは奴らをよく目にしたが…奴らの狩りは本物だ。俺の仲間たちが、焼き殺され、切り刻まれ、串刺しにされ……凄惨なものだった…

…くっ

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うおおおぉぉ~!!仲間の弔いじゃあ!覚悟しろ幽鬼どもめ!

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おっふ…

 

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すいません誰かぁ~!誰かいませんかぁ~!?変な奴らに追われてるんです~!

って、無人の空き小屋かよ…

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篝火があるぞ…

フフ…クリスマスに一人、篝火で暖を取るのも悪くはないかな…

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ん…?

なんだ、あいつらは…集団でどこへ向かってやがる…

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あれは教会か…?

聖夜…教会…あっ…

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よ、よぉ鴉のアンチャン…あ、あんたは教会には出向かないのかい…?

(なんだこいつ…)「いやぁ、私は結婚式なんぞに興味はないんでね…」

「そんなことよりも、今はこの世界に絶望しているよ…」

「いっそ、こんな世界燃えてしまえとさえも思っているのさ…フフフ…」

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(「腐った世界」…「外の奴ら」…)アンチャン、あんたも俺と同じってわけか…

「ん…?フフ…そうかい、あんたもそう思うかい…」

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アンチャン!あんたの願い、俺が叶えてみせる!見てな!

「えっ?あぁ…ん?え?」

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うおぉ~っ!クリスマスに浮かれた馬鹿どもは俺が燃やし尽くしてやるぜ~っ!

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「よぉ兄ちゃん!助太刀するぜっ!」

(え…誰…)

 

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アーハッハッハッハ!教会もそれに集うリア充どもも、みんな燃やし尽くしてやったぞっ!

俺はやった!クソッたれなこの世界を焼いてやったぞ~っ!

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鴉のアンチャ~ン!見てるかー!?聞こえてるかー!?

世界を焼くこの音が、あんたにまで届いているかー!!?

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「ああ、よく聞こえているよ…」

「名も知らぬ兄ちゃん、お前は何か勘違いしていたようだが、とにかく我が望みは果たしてくれた…」

「フフ…何か、お礼をしなくてはな…」

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ああ…久しぶりに、はりきっちまった…。柄にもないことをしてしまったな…フフフ…

なんだかどっと疲れたな…眠気が…一気に…

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ZZz……

 

 

 

 

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ハッ!

ゆ、夢…?夢を見ていたのか俺は…?

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ハッハッハ…年甲斐にもなく、夢を見て興奮するなど… フフ、俺もまだまだ子供ということかな…

しかし、悪くはない夢だった…フフ…

…そうだ、たまにはあいつらの墓参りにでも行くとするかな…

 

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剣草の一つくらい供えてやろうか…ん?なんだこれは…

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……

フ…フフフフ…はてさて、俺はまだ夢の中にいるのかどうか…フフフ…

フフフヘヘヘヘヘヘ……!

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ヘヘ…

そうだ、クリスマスは別に浮かれた恋人たちのための日じゃない…プレゼントを待ち望むガキのための日でもあるんだ…。そんなガキの常識を、今更になって思い出すとはな…

なぁ、サンタの爺さんよ… クリスマスだって、お前がいるなら、悪くない…