デーモン滅ぶべし

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不完全燃焼なんだろ?

 

絶滅危惧指定種「デーモン」。生まれるべきではなかった彼らには、しかし彼らなりの文化が存在し、生態系が存在する「滅ぶべき種族」としてまさしく消えかけの生命である彼らは、自らの存在に果たして何を思うのか。

 

(目次)

 

★デーモンの成り立ち

そもそもデーモンとはなんなのか。その出生はダークソウルの原点、王の時代にまでさかのぼる。

原初の火が生まれ、様々な差異がもたらされた。火の起こりは生命の始まりであり、グウィンを始めとする神族もまた火に惹かれ、王のソウルを見出した。しかしその結果、前世代の覇者古竜と神々の間で世界の支配権をめぐる戦争が勃発し、神軍はこれに勝利火の時代が始まる

しかし火はいずれ消えるもの。火が消えればそれが基となる様々な差異もまた共に消えてしまう。つまり霧の時代に逆戻りということだ。そしてイザリスの魔女たちはその代替案として人工的な火を創り出すことを提案、開発

これが魔女たちの業混沌の炎の始まりであり、混沌の苗床が生まれるきっかけである。そしてその苗床から生まれた者たちこそデーモンであり、つまり彼らの祖は混沌の炎にあり、失敗から生まれた命でもある。つまりは存在そのものが失敗作、意図して出来上がった生命ではないのだ。

 

ちなみにこの時生まれた最初のデーモンとは廃都イザリスの門番デーモンの炎司祭であり、彼(彼女?)は魔女たちが炎に飲まれる前の、最後の炎の魔術の使い手であったという。

デーモンの杖

デーモンの炎司祭は、最初のデーモンであり
イザリスの魔女が混沌に飲まれる前の
呪術でない、炎の魔術の最後の使い手だった

この記述を見る限り、苗床という名称から想像されるような「新たな個体が産み落とされる」というよりは「既にある生命がデーモンに変わる」と言った方が正しいのだろうか(「デーモンが混沌の炎から生まれる」のであれば、この炎の魔術の使い手はこの時点では「まだ」デーモンではないはずだ)。つまりこの場合、この魔術師は混沌の炎の衝撃に飲まれ、デーモンと化したというわけだ。であるなら、牛頭や山羊頭といった異形の姿もまた、元はただの牛や山羊が変異したものということだろう。

また、デーモン化の衝動は生命だけに限らず、無機物にも宿るらしい。例として楔のデーモンは楔の原盤から生まれた魔物であり、ならば3に登場するデーモンはその質感からみなただの岩にデーモンの力が宿ったのかもしれない。…とはいえ正確には楔のデーモンは「混沌の」デーモンではない。なぜなら黒騎士武器特有のデーモン特攻が効かないから。なので実際には同じデーモンでも出生が違う模様。

あるいは強力な生命体を総称してデーモンと呼んでいるのか…。デモンズソウルでは明確に「人々の伝承や恐怖が形として現れたもの」という設定があったが、ダークソウルでは「混沌から生まれた」以上の説明ってあったっけ。

 

★デーモンの種類

3では牛頭や山羊頭といった前作までのデーモンのほとんどは生命体としては現れず、出現するデーモンは皆まるで大きな岩の塊のような姿へと変化した。

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▲デーモンの老王

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▲デーモン

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▲はぐれデーモン

比べてみると、上からどんどん宿す火の勢いがなくなっていることが分かる。はぐれデーモンなんて遠目には大岩そのもの。

ではなぜ彼らはこんな姿に変わったのか?燻りが薄れたからである。なぜ薄れたのか?元となる混沌の炎がもはやないからである。なぜないのか?混沌の魔女たちは皆死に、原初の火でさえもはや消えかけだからである

つまり彼らの生命もまた、全ての火のない灰の使命、火継ぎに大きく関わっているのである。

では、この三体のデーモンを詳しく考察してみよう。

■デーモンの老王

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デーモン族の王にして、イザリスの混沌を知る最後の一体。その他の中ボス程度のデーモンに対しては比類する隙のないほど強大な力を誇る。そうでなくてはボスは務まらん。

しかしその体に宿す炎は彼に残った最後の燃え滓である。つまりデーモン遺跡に侵攻してきたプレイヤーを、自らの命も省みず全身全霊を持って追い返そうとしているわけだ。対峙時はまだ力を温存しているものの、体力を減らすと咆哮と共に火の勢いを増し、さらに強力になる。

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その炎の力は流石王というだけはあり見事なもの。火の輪召喚隕石降らしなど、人智を超えた技の数々を繰り出してくる。

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しかしやはり老いには勝てず、ここからさらに体力を減らすと最後の力を振り絞った大爆発の後、もはや燻りすらほとんどない弱りきった姿となる。

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見るからに痛々しい。この時近づいても手を払う程度の攻撃しかできず、しかしそれでも懸命にこちらを攻撃しようとしてくる。彼らにとって炎とはまさしく血そのもの、文字通り生命を燃やして反撃しているわけだ。

デーモン退治なんていうのはまさしく人間のエゴだよな。発端は混沌の魔女にあり、プレイヤーはその尻拭いをしているだけだとしても、「失敗作生まれちゃったから殺すね」なんてとんでもなく野蛮すぎる。弱弱しく膝をつく王を目の前にして、果たして殺すことが本当に正義なのだろうか

 

ちなみに3に登場するデーモン群には、ちゃんとした肉体のある助祭を除き全て出血の状態異常は無効。彼らに血は通っておらず、言うなれば煮えたぎる溶岩が血としてめぐっているのだろう。無印では逆に出血が非常に有効であっただけに、やはりそれらとは別物であるようだ。またこれを根拠とし、「岩がデーモン化した」説も多少有力になるのではないだろうか。

 

「デーモンの王子」?

ローリアンの大剣によると、何やらデーモンには王子なるものが存在し、しかしそれはローリアンによって倒されたらしい。

この記述を見た時は面食らった…こんな忌むべき種族にも王政が存在したのか!?と。ただ当てもなく、世界をさまよっているだけの知能無き存在なのかと思っていた。しかし改めて考えてみれば、無印の時点で炎司祭がいたんだし、私が気づかなかっただけですね。

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ちなみにこいつは名をデーモンの助祭といい、位でいえば司祭の下。やはり炎を操るあたり、デーモンの本質が火にあることは明確なようだ。

だから老王にしてみれば愛すべき息子が人間の王族によって討伐され、その怒りは凄まじかったものだろう。よくよく考えれば、デーモンって別に悪い種族ではないもんな。人間を殺して食ってたとか、国を荒らして壊滅に追い込んだとかそういう記述は残っていない。しかしその身の炎と腕力はそれだけで純粋に危険だから、やはり他の生物にとっては存在するだけで脅威なのだろう。

王だの司祭だのとはいうが、実際は限りある余生を慎ましく生きていたのだろう。デーモン遺跡以外にもデーモンは存在するが、彼らは所詮はぐれであり、決して侵略の目的で外征に向かっていたなどというわけではないはずだ。現実でも街に飛び出してきた猛獣を人間の都合で射殺するなどはあるが、それと同じことだよね。

また、余談ではあるが、デーモンの王子はローリアンとの一騎打ちの結果敗北するもその大剣にデーモンの燻りという傷跡を遺した。ローリアンという強敵とも対峙出来る力、死してなお力を遺す生命力を見ると、やはり本気を出したデーモンの力は相当なものだったのだろう。…しかしその遺した傷跡さえ自分の力として存分に振るうローリアンの姿を見れば、やはり彼が一枚上手であることは否めない。

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▲「ねぇどんな気持ち?息子殺されて今どんな気持ち??」「うっうっ…」すごくかわいそう。

 

■デーモン

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常に赤々と火を燃やし続けるデーモン。個体としては不死街カーサスの地下墓(燻りの湖側)に存在する。…地下墓はともかく、なぜ不死街に?

ちなみにコイツは周りのスケルトンやミミックとさえ敵対しており、全員からイジめられている。特にミミックとの死闘は一見の価値あり。

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一撃で800だの1400だの、なかなかレベルが高い戦いだな。ちなみにこの時の勝負はデーモンの勝利でした。どうでもいいね

でもなんで敵対してるんだ?距離によってはプレイヤーよりも優先して攻撃されている。危険度はプレイヤーよりも上なのか…。いくら生まれるべきではなかった生命としても、流石にあんまりじゃないか。この世にいるだけで周りからイジめられてさぁ…特に理由のない暴力に襲われてさぁ…。なんかもう泣けてくるわこいつ。存在する事は罪にならねェ!!!そうだろ!?トムさん!!

 

しかし、こいつは老王とは血の繋がりはないのだろうか。…血の通っていない彼らには皮肉な言い方だが、王政とは基本的に血縁によるものだし、であればデーモンにも親子関係が存在しているはずだ。それがデーモン化する前の元の人間関係からそのまま持ってくるものなのか、もしくは親子とは名ばかりの強弱関係によるものなのかは定かではない。しかし私の「3のデーモンは岩に生命が宿った」という考察が正しいのであれば、後者の純粋な強弱関係によって決まるのだろう。ということはやはり王政というよりはただの親子関係、もっと言えば力の強弱でしかないのだろうか。ここで言う力とは単純な腕力ではなく頭脳も含めた言葉だが。でなければあの小さな助祭が大きなデーモンに勝てそうもないし、強靭さだけが力ではないのだろう。…現実の動物界は所詮弱肉強食だし、やっぱデーモンって思った以上に知性あるわ。

 

■はぐれデーモン

名前通り迷子のデーモン。無印にも同名のデーモンがいたが、その姿は大きく違う。

姿的にはデーモンの第一段階ポケモンでいう進化前)のようにも見えるが、むしろこれは衰退しきった最終進化。というよりは分岐進化のような感じか。いやむしろ進化させてないのか。…逆に分かりづらいですね。

彼の姿には燃える火など微塵も存在せず、まさしく岩の塊。吐き出す物も炎ではなく岩そのもの。そして弱り切っていることを裏付けるように、体は脆く、すぐに崩れてしまう

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▲足がもげた状態。こうなるともう、どこが顔なのか全くわからない

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▲上半身だけでズリズリ動いてる…。痛ましい…

もうこの叫び声が悲痛で悲痛で…。耳をふさぎたくなる。こいつそのものがデーモンの現状を如実に表しているよ。もはや風前の灯、それでも必死に生きようともがき、最後には慈悲もなく殺される…。なんてみじめで哀れな生き物…

もうさ、逆にデーモン保護条例作っちゃおうよ。あまりにもみじめすぎるだろ!このあり様。見てられんわ。

ちなみに燻りさえも無くしたとはいえ、体の内には僅かばかりの火は残っているようだ。

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▲分かりやすいように破裂ボルトで攻撃してみた

攻撃した個所は爆発したかのように炎が噴きだし、それはまさしく人間に通う血のよう。はぐれだけでなく、上述のデーモンは全てそう。こんなデーモンの末端でも混沌の証明はあるんだよな…。ほんと泣かせますわ、こいつ。

 

・ロスリックの門番

かつてはぐれデーモンはロスリックの門番であったという。

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▲おーっす!久しぶり!元気してた!?

デーモンの王制に組み込まれなかった者でも、やはり使役され役回りに応じるだけの知性はあったということだ。もっとも、こんな巨大な怪物を手懐けるだけのロスリック国の手腕も驚きだが…。

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▲長年ほったらかしてごめんな!ちょっと用事が…えっ?

しかし高壁が生じた結果ロスリック城と不死街をつなぐ手段は断たれ、門番の役目も無意味に。その結果ほったらかしにされ、はぐれと化す

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▲わ…私だよ!ロスリックだよ!忘れたのかい!?

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▲あぁ~…。

ロスリック王国も、こういうところ不人情だよなぁ。長年かわいがられてきたペットなのに、放置されたら誰だって人間不信になるわ!ほんとにもう…ご主人様にも置いてけぼりにされて、この子かわいそうなんてもんじゃないよ。

 

 

このように、どのデーモンもそれぞれ老衰イジめられっ子迷子のあげく放置とどれもかわいそうな環境にいる。それでも君はこの子らを手にかけるのかい!?本当にそれでいいのか!?幸いにも彼らは皆倒す必要のないボスなので、本当に哀れに思うのならそっとしておいてほしい。一周目なら躊躇なく殺すけど。

 

 

★混沌の総本山「デーモン遺跡」

混沌の魔女と娘たちの故郷、イザリス。そしてデーモンの本拠地、デーモン遺跡。3では「薪の王たちの故郷が国ごと流れついている」という設定のためか、その影響でイザリスさえもロスリックに引っ張られてきたようだ。

しかしその内装は無印時とは大きく変わる。名前こそデーモン遺跡と同じだが、どうやら無印と全く同じ場所ではなく、改築したか、新たに建て直したかはなされたようである。

そしてここに存在しているのがデーモンの老王助祭混沌の娘の死体黒騎士、そしてグルーたち。さらには呪術師のククールゾリグも現れる。

まさしく混沌の関係者が続々と集っている。混沌ということは呪術にも大いに関係しており、呪術師にとってはまさしく垂涎ものだろう。ではグルーとゾリグは?こいつらもまた、混沌の炎に導かれた従者なのだろうか?うーむ、ウズいて来るぜ…

 

デーモンたちの間接的な母混沌の魔女クラーグ蜘蛛姫。彼女たちは下半身が蜘蛛と化しているのが特徴であり、それはつまり半ばデーモン化しているということになる。しかし皮肉にも、子であるデーモンはいまだなんとか生き永らえているもののその母親たちは皆既に死んでいる

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▲R.I.P

この異形を抱かかえるようにある遺体からはクラーナの呪術書が入手でき、つまり彼女は最後まで妹の傍にいたということだ。一旦は自分のしでかした罪から逃げ出し、妹たちから離れて暮らしていたものの、やはりその責任や愛情からは逃げられなかったということだろう。

…しかし正直に言えば、この顛末は禁忌に触れた彼女たちの自業自得であり、後世にデーモンを遺したままその責任も負わずに死ぬというのはぶっちゃけどうなんだと思うところはある。とはいえ、このデーモン遺跡に遺体があり、母の思惑はともかく子どもたちがそれを祀るために遺跡を改築し、守っているのであれば…なかなか泣ける話なんじゃないだろうか。

 

そして黒騎士

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黒騎士の武器は混沌のデーモンと対峙するためのものであり、強靭削りに長けるのはそのデーモンの強大さに対抗するため。黒騎士が黒いのはグウィンの火継ぎに際して焼かれたためだというが、実際はデーモンと対峙している時点で相当熱せられていたのではないだろうか。やはり当時からデーモンは相当強力だったようで、グウィン率いる黒騎士軍といえど相当苦戦していたはずだ。

そしてそれから遥か遥か途方もない年月が経った今でも、黒騎士の使命としてデーモンと戦い続けている。ようやくデーモンが絶滅しようとしている今、彼らの行く末は果たしてどこなのだろうか

 

さらにグルー。彼らの存在が一番謎。あんたらファランの番人じゃなかったのか?黒騎士と敵対しているところを見るに、どうやらただ住処にしているのではなく明確に混沌の従者として徒党を組んでいるようだ。

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しかも彼らの武器はよく見るとファランの城塞の個体とは違い、鉄製のものに変化している。

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▲(参考:ファランのグルー)

ん!よく見るとファランの個体は瘤角であり、こちらはファランの城塞の侍祭の末裔であるらしい。一口にグルーと言っても色々種類があるようだ。ならば単純にファランに就いた側と、デーモンに就いた側で分かれたという訳か。

とはいえ遺跡の個体でもその毒性は相変わらずであり、その性質はファランの毒沼によるものではなく元から備わっているものらしい。さらに言えば吐く毒霧も猛毒へと進化しており、マップ的にもより厳しい環境に適応したということだろうか(それを言ったら毒沼に住んでいる方が毒の性質は濃くなりそうなものだけど…)。

ちなみに彼らの背中には小さいながらも翼があるファランの個体も同様。

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老王などのデーモンにもボロボロながら翼が存在する。ウズいて来るぜ…。とはいえデーモンがみんながみんな翼があるわけではないし、これがデーモンとの種族的な相似点とはあんまり言えないか。

 

さらに二か所に存在する謎の生物

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なにこれ!?姿でいえばデーモンの助祭にも似ているけど。ていうかまんま?でも四つ腕ではないなぁ。

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気になるのは体のいたるところに生えたウネウネ。これ、どこかで見覚えある。

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クリソツやんけ。まさか呪術だけでなく魔術とも関わりを持っているのか?しかし呪術の祖は炎の魔術にあると言うし、根の部分ではどちらも同じなのだろうか。このウネウネが「人から何かに変異した証拠」であるなら、やっぱりこれも「人からデーモンに変異した証拠」なのだろうか。…ちょっと都合よすぎるかな。

さらに、もう一か所では目の前にある遺体からはイザリスの呪術書が拾える。

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つまり、イザリスが滅亡した後でも誰か後世に伝える呪術師が存在していたということだ。さらにこの構図を見るに、この遺体の人物はこの謎のデーモンそのものを師として呪術を学んでいたようにも思える。そうでなくとも、少なくともデーモンに対し畏敬の念を抱いていたことは違いない。

世の呪術師はもちろん混沌の呪術の業には目がないだろうが、そこから生まれたデーモンに対してはどうなんだろう。今までの呪術の師匠は、あの魔女クラーナでさえも、デーモンに対し言及することはなかった。見て見ぬふりをしているのかもしれない。呪術師とデーモンは近いところに存在していながらも、お互いこれといった干渉はしていないように思える。だからこそこの遺体の人物は、やはり呪術師として極めて異例なのだろう。ククールも呪術の元祖を探訪しに来たというよりは思いっきり老王シバいてるし、あんまり尊敬もしてなさそう。

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▲老人虐待の現場を捉えた!

また、これはどう考えても関係ないとは自分でも思うが、この遺体のポーズは暗月の誓約礼に酷似している

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まさかここから奇跡の範疇にまで及んでくるのか!?ウズいて…来ないな。流石に。ちょっとこじつけが過ぎますか。

 

また、騎士狩りゾリグ。ある意味こいつが一番の謎。カーサスの地下墓からそのままデーモン遺跡に移っているあたり、プレイヤーと同様に旅を続けているのだろう。しかも彼は実体でこの遺跡に存在しており、純粋に探索をしていたのだろうと思われる。何の目的で?

こいつは無印時のトゲの騎士カークと被る。そこかしこで侵入して来、その場所は段々とイザリスの中心へと近づいていき、最後は混沌の娘の傍らで果てている。つまり彼は混沌の従者であり、人間性を稼いでいたのも娘に贈るためなのだった、というオチ。無印では珍しくなかなかいい話。

ではゾリグはどうだろう。コイツの性格を見れば、あんまり誰かのために何かするという性質ではなさそう。呪術師でもないし、かといってデーモン退治に向かっているわけでもなさそうだ。なんなんだよこいつは…本当掴みどころがないというか、謎だよなあ。実はまだ旅の途中で、偶然プレイヤーと会ってしまったばかりに殺されただけなのかな。だとしたら悪いことしたかも…と思ったけどコイツ煽り屋だし関係ねぇや

 

そしてデーモン。無印では牛頭山羊頭百足など、姿は多様に富んでいた。しかし3では彼らの姿は既になく、その死体はデーモン遺跡の諸所にうち捨てられている

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▲死屍累々

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▲百足のデーモンもちゃんといる(デーモンの老王ボス部屋左)。

しかし中でもはぐれ(というよりは通常の個体)と牛頭に関しては、遺跡の中に像?として保管され、丁重に扱われていることが見て取れる。

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ちなみに山羊頭はそこらへんで死んでいる

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山羊頭はデーモンの中でも位が低いのかなぁ…。ていうかこんなに小っちゃかったっけ?傍に刺さっているデーモンの大鉈もミニチュアサイズに見える。

ただ一種、蝙蝠羽のデーモンだけは3でもその姿のまま残っているんだけどね。

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とはいえ彼らは無印でも混沌のデーモンとしては異端の存在であったし、プレイヤーを運搬するだけが生きがいの生物なのだろうか。それはそれでなんというか…生きてて楽しいのかな?

 

これらを見れば、3のデーモンは先輩たちを敬っているのではないだろうか。少なくともはぐれと牛頭に関してはきちんと保管されてあるし、これをしたのが老王たちやグルーなのだとしたら、なんというかけなげだよなぁ。

もしそうなら、築かれている死体の山は全て黒騎士がやったものか?どんだけ強靭なんだよ…黒騎士。とはいえデーモンも既に世代替わりの時期、力もほとんど残っていないので全盛期よりは楽に掃伐できたのだろう。

 

 

★デーモンの燻りに未来を視る

デーモンの存在は火と人々の今を映している。消えゆく残り火、それを糧とするデーモンと火のない灰。両者敵対こそしているものの、その置かれている環境には全く変わりがないのである。

デーモンを哀れだのかわいそうだのと悲惨な境遇を挙げているが、それは完全に棚上げである。デーモンの姿は火のない灰の未来、その生き写しなのだ。そう遠くない未来、きっと同じ運命を辿るはずだ。デーモンとはつまり、まさしく姿を変えた我々そのものなのではないだろうか?混沌の炎を礎とし、しかしその燻りが薄れ生命が危ぶまれているデーモン。原初の火を源とし、しかし火継ぎの危機に直面し未来が危ぶまれている火のない灰。境遇としては全く同じ。

であればやはり、火継ぎは正しいことなのではないか?とはいえ、ここでもまたデーモンと被る。デーモンの源はイザリスを飲み込んだ禁忌の混沌の炎、これを灰に見立てれば火を継ぐことはそれ相応に危険ということに相違ないはずだ。ローリアンはデーモンと直接戦い、それに気づいたということだろうか?

よくよく見れば、遺跡のグルーにまとわりつく火の粉も、薪の王化したプレイヤーの状態と酷似している。ならばデーモン遺跡そのものが、ダークソウルの全ての縮図とも言えなくもない

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火を継がなければ未来はない、しかしそれはまた火に飲み込まれることと同じ。火を継ぐのも、継がないのもどちらにしろ未来はないということか。…もう、どうしようもないじゃん

 

 

結局言いたいのは、デーモンは非常に哀れな種族ではあるが、それは決して他人ごとではないよということだ。考えればデーモンは混沌の魔女や黒騎士、グルー、そして呪術師たちに大きく関わりを持つ生物だ。そしてそれはもちろん、火のない灰や原初の火にも深く関わってくる。放っておいてもいずれ消える命だろうが、それでもその燻りは絶えることはないだろう。ローリアンの得物、そしてその心に大きな傷跡を遺したように。

そうして我々の取るべき行動としてデーモンに自分を重ねて慈しむか、こうはなるまいと制圧に勤しむか。どちらも正義として通じる行動だ。…ああ、責めはしないよ。君はただ、王道を正しているのだから

 

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